我妻教育3

血の気が引いて、階段から足を踏み外しそうで、手すりをしっかりと掴んだ。

『え、まじで?!もうそんな関係?
やるな、啓志郎のやつ、クソ真面目な顔してやることやってんのか!』
優留ちゃんが驚いた声を上げた。

慌てて否定する。
「違う違う、全然そんなんじゃないから!」

『そうなのか?まぁいいけど。
そっか~、女を優先するようになるなんて、やるなぁ、あいつも』
大人になったなぁ~と、しみじみと感心したような声。

こっちはそれどころじゃない。
階段の踊り場でオロオロと右往左往。

「啓志郎くん大丈夫かな?」

『さ~、呼び出し食らって、たまにはお灸据えられてもいんじゃないか』

「そんな…」

『ジジイに逆らうなんて珍しいこともあるもんだな~、反抗期か?って新香も感心してたとこだ。
まぁ、あいつなら自分で何とかするだろ。
未礼は気にしなくていいからな!
また何か分かったら連絡するから!じゃ』

「ありがとう、優留ちゃん…」

気にしなくていいと言われても、頭の中真っ白で、罪悪感に押しつぶされそうだった。

お祖父さんといえば、啓志郎くんが一番畏れていて、一番認めてもらいたい人だ。

あたしが無理に来てなんて、わがまま言ったから。
お祖父さんの心証を害することになったよね?

啓志郎くんに連絡してみようかな?


「垣津端様。こんにちは」