我妻教育3

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午後、タウン誌の編集部へやって来た。
連載中の≪一皿飯≫の打ち合わせ。

さっそく酒粕を使った料理を提案する。

酒粕と味噌で漬けてから焼いた豚ロースと、酒粕ドレッシング(すだち搾ってさっぱり系に仕上げたドレッシング)で和えた野菜サラダをゴハンに乗っけたどんぶり。

「ヤバイヤバイ美味しすぎ!次はこれで決まりだね!」

試食用に作って持ってきた一皿飯を食べて編集さんも絶賛してくれる。

自ら売り込んで得た仕事に誇りを持って、大切にしよう。

ブログだけじゃなくて、他にも出来ることを考えよう。

料理なんて、誰でも出来ることをあたしはプロとしてやっていきたいんだ。


打ち合わせ終了。
編集部出て、エレベーターに乗ろうとしたところで、優留ちゃんから電話がかかってきた。

開口一番、
『啓志郎、昨日の夜、どこ行ってたか知ってるか?』

「え?どういうこと?」
エレベーターに乗らずに階段を使う。

『昨日の夜、ジイちゃんとの約束すっぽかしたみたいでさ~。
こんなこと初めてだし。
ジイちゃんもバアちゃんも、かなりご立腹みたいで。ヤバイぞ~、啓志郎のやつ』

うそ、昨夜、お祖父さんとの約束があったの?
そんなこと、言ってなかったのに。

「…啓志郎くん、昨日は一晩あたしと…」