町中を散策する。
日中なのに分厚い雲で薄暗い。
そして、蒸し暑い。
人通りの途切れた町中で、強い風が吹き抜ける。
木々が揺れて大きくざわめく。
歩を止める。
ザワザワしてる。胸の中。
自分一人取り残されたような。
あたし、こんなところで一人、何してるんだろう。
全てを失ってから、新しい世界で居場所を作った家族。
生活を変える気がなくて、残ったあたし一人だけ……
頑張ってたのにな…
料理を発信していく仕事がしたい。
料理教室の講師になって、頑張っていこうって。
それなのに、やりたい仕事から外されて、転職を促されてる状態だなんて。悲しすぎる。
どうしたらいいんだろう。
立ち尽くしていたら、啓志郎くんから電話がかかってきた。
「もしもし。どうしたの?」
『いや、特に用はないのだが…』
「啓志郎くん今日は仕事?」
『ああ、本社にいる。今、休憩中だ。未礼も今昼休憩中か?』
「ううん。夏休み取ってる。今、勇のところにきてる」
逃避行中。
『ああ、確か酒蔵の…』
「そう。近所ブラブラしてるよ。古い町並みが雰囲気あって素敵だよ。
もう、このままここに住んじゃおうかなー…なんて……」
本当に逃避行してしまいたい。
いっそ…
『未礼…?』
いっそ、ここに逃げて、新しくやり直す?
だって、講師になりたいのに、正社員になれなきゃ、あそこにいる意味ないもん。
『どうかしたか?』
日中なのに分厚い雲で薄暗い。
そして、蒸し暑い。
人通りの途切れた町中で、強い風が吹き抜ける。
木々が揺れて大きくざわめく。
歩を止める。
ザワザワしてる。胸の中。
自分一人取り残されたような。
あたし、こんなところで一人、何してるんだろう。
全てを失ってから、新しい世界で居場所を作った家族。
生活を変える気がなくて、残ったあたし一人だけ……
頑張ってたのにな…
料理を発信していく仕事がしたい。
料理教室の講師になって、頑張っていこうって。
それなのに、やりたい仕事から外されて、転職を促されてる状態だなんて。悲しすぎる。
どうしたらいいんだろう。
立ち尽くしていたら、啓志郎くんから電話がかかってきた。
「もしもし。どうしたの?」
『いや、特に用はないのだが…』
「啓志郎くん今日は仕事?」
『ああ、本社にいる。今、休憩中だ。未礼も今昼休憩中か?』
「ううん。夏休み取ってる。今、勇のところにきてる」
逃避行中。
『ああ、確か酒蔵の…』
「そう。近所ブラブラしてるよ。古い町並みが雰囲気あって素敵だよ。
もう、このままここに住んじゃおうかなー…なんて……」
本当に逃避行してしまいたい。
いっそ…
『未礼…?』
いっそ、ここに逃げて、新しくやり直す?
だって、講師になりたいのに、正社員になれなきゃ、あそこにいる意味ないもん。
『どうかしたか?』

