「じゃーな、未礼。また連絡する!
蓮下さんも、また来るな!お休み!!」

優留ちゃんは、あたしと蓮下さんと交互にハグをして、待っていたタクシーに、新香さんを先に乗せてから、乗り込んだ。

「二人共、気をつけて。お休みなさい♪」

二人が乗ったタクシーを手を降って見送る。

楽しかったなぁ~。
楽しい時間はあっという間に過ぎちゃうな。

見送り終えて店に戻ろうとすると、「楽しかったか?」と蓮下さんが聞いてきた。

「はい、とっても!
ていうか、すみません。
仕事中なのに、あたしまで楽しんじゃって…」

「楽しかったなら良かった。
何か知んないけど、元気出せよ。
お前の取り柄は、その呑気な笑顔だからな」

「のんき…って、それ誉め言葉ですか?」
それ、前に誰かにも言われた気がする。

「未礼も今日は上がっていいぞ」
蓮下さんは、ポンポンとあたしの頭を撫でて、店の中に戻った。


「…ありがとうございます」

じんとした。
蓮下さん。あたしが、元気なかったから…?
仕事中に、女子会しろなんて言ってくれたんだ。

あたしは、優しい人の下で働けてるんだ。

…今日は辛いことあったけど、嫌なことばっかじゃない。

考えないといけないことは、沢山あるんだけど、嬉しいことだけ考えて、今日は眠ろう。
そう思った。