それから佳澄の提案通り、近くのカラオケ店に行ってひとしきり遊んだあたし達は日が沈みだした頃にカラオケ店から出た。


「あ〜いっぱい歌ったぁ〜」


「明日声ガラガラかもしんないね」


「俺と悠叶のデュエット良かったっしょ?」


「いや智輝まじ笑わせてくんなよ」


店から出たあたし達はケラケラと笑いながら歩いていた。


そして駅の前まで来た時、時計を見て佳澄が「あー!」と大きな声で叫んだ。


「び…びっくりしたぁ…。どしたの?」


あたしはバクバクと鳴る心臓を押さえながら聞くと佳澄は焦った顔で「忘れてた…」と言って続けた。


「今日お母さんにお使い頼まれてたんだった!」


佳澄はそう言うと「じゃあまた明日ね!楽しかった!」と手を振りながら行ってしまった。


…はや。普段から何かとゆっくりな子だけど早い時は早いんだよなぁ…。


「…てかもう6時半?遊んでたらあっという間だな」


悠叶が時計を見ながら呟いた。