生徒玄関は目の前にある。


その手前で止まった佳澄の視線の先には2人の男の子。


くせっ毛の黒髪にくっきりとした二重、薄い唇をした整った容姿の長身の男の子。


その隣で何かを話している黒色のマッシュルームヘアをした彼よりちょっと背の低い男の子。こちらも整った容姿をしている。


「茅野じゃん」


佳澄の声が聞こえたのか2人があたし達の方を向く。


「あ…白橋と杉坂」


そう言ったのは背の低い方の彼、『渕本智輝(フチモトトモキ)』。


「今帰り?今日部活休みだっけ?」


「先週試合したばっかだから休み」


あたしが聞くと長身の方の彼、『茅野悠叶(カヤノユウト)』が答えた。


「そっかそっか。強豪校と試合だったんでしょ?」


「そーそー。もう惨敗」


智輝が笑いながら腰に手を当てる。


「次があるよ次が」


あたしが言うと悠叶は「おー」とやる気のない返事をした。


全くこの男は…せっかく応援してやってるのに…。


そう思いながらもあたしの胸はドキドキと鳴り続けていた。