彼女は「そうですかっ…」と涙声で校舎の方に去っていった。


告白を断ったことにホッと胸を撫で下ろしていると頭に軽い衝撃が走った。


「何盗み聞きしてんだよ」


気がつくと悠叶が横で呆れた顔をして立っていた。


「あ…はは…ごめん」


「まぁ別にいいけど」


ポケットに手を入れながら「一緒に帰る?」と悠叶が言った。


「う、うん!」


即答したあたしは悠叶と歩き出した。


「さ、さっきの子、3組の子だよね?」


気まずくて出した話題がこれってあたしバカだ…。


でも悠叶は別に気まずそうにすることもなく普通の様子だった。


「俺話したこともなかったけど」


「そ、そっか。人気者は大変だねぇ」


「うるせー。…大体毎回断ってんのに何で懲りねぇんだろうなー」


悠叶は興味なさそうにしていた。


あたしとしても諦めてくれた方が嬉しいんだけど…って告白する勇気もないあたしが言えたことじゃないか…。