帰りのホームルームが終わるやいなや、わたしは教室を飛び出した。
「ことちゃん、ファイトー!」
「頑張ってくださあい!」
背中に2人のエールを感じながら、わたしは走った。
"渡したいものがあるので、待っててください"とラインすれば良かっただけなのに、勘繰られるといけないと思って送らなかった。
だから、走るしかない。
といっても、数十メートルの距離。
すぐに到着してしまった。
ならば襲いかかってくるのは、ただならぬ緊張。
手汗が半端ない。
超能力で手から水を出せる人みたいな感じだ。
園田さんからもらったハンカチで必死に拭き取って彼が出てくるのを待つ。
「あれぇ、君ってもしかして、ミスコンに出てた...」
「はい。星名湖杜と申します」
「やっぱり。どっかで見たことあると思ったら藤宮羽鳥の知り合いでしょ?」
さっきの汗とは別の汗が吹き出てきた。
「あなた、もしかして藤宮さんの...」
「言っとくけど、最近はなあんにも手出してないからね。ストーカー呼ばわりだけはしないでくれるかな?」
「しませんので、早く帰ってください」
「そうだね。早く帰りまあす。ところで誰に用があって来たのかな?」
この人、ムカつく...。
絶対わたしのこと、バカにしてるよ。
ほんと、さいってー。
早く帰りなさい!
「わたしのことはどうでもいいですよね?早く帰ってください!」
それでも、わたしの前に立ち塞がり、こっちを睨んでくる。
「俺に口答えしたらどうなるか分かってんの?」
脅してる。
わたしを脅して藤宮さんに攻撃するつもり?
お互いに睨みあっていると、助け船が流れてきた。
「星名」
この声は...。
「へえ、君、青柳波琉のカノジョ?」
「ち...違います!からかわないでください!」
「ま、いいや。どうぞ末長くお幸せに」
嫌みを言うだけいってやつは去っていった。
ある意味、緊張はほぐれたが、あまり良い気はしない。
イライラして青柳くんに当たってしまわないか心配だった。
「星名、どうした?」
「いや、あの...その...」
あぁ、言葉が出ない。
落ち着け、わたし。
こんなので心を乱されるような人じゃない。
「途中まで送ってくよ」
「あ...ありがとうございます」
青柳くんの見事なアシストで大分時間に余裕が出来た。
といっても、ど緊張状態で足がふらふらしているわたしはかなりの危険人物のように感じた。
「大丈夫?具合悪い?」
「いえいえ、そうではなくて...」
ちょっと早足になり、青柳くんに追いかけてもらう。
早く学校から出て人目に触れないところで渡さないと...。
「星名!待って!」
校門を出て左に曲がり、駅とは反対方向に数十メートル歩き、空き地に辿り着いた。
ふぅ...。
ここなら、大丈夫だ。
誰にも見られず、渡せる。
青柳くんが来るまでに心を整えなきゃ。
「ことちゃん、ファイトー!」
「頑張ってくださあい!」
背中に2人のエールを感じながら、わたしは走った。
"渡したいものがあるので、待っててください"とラインすれば良かっただけなのに、勘繰られるといけないと思って送らなかった。
だから、走るしかない。
といっても、数十メートルの距離。
すぐに到着してしまった。
ならば襲いかかってくるのは、ただならぬ緊張。
手汗が半端ない。
超能力で手から水を出せる人みたいな感じだ。
園田さんからもらったハンカチで必死に拭き取って彼が出てくるのを待つ。
「あれぇ、君ってもしかして、ミスコンに出てた...」
「はい。星名湖杜と申します」
「やっぱり。どっかで見たことあると思ったら藤宮羽鳥の知り合いでしょ?」
さっきの汗とは別の汗が吹き出てきた。
「あなた、もしかして藤宮さんの...」
「言っとくけど、最近はなあんにも手出してないからね。ストーカー呼ばわりだけはしないでくれるかな?」
「しませんので、早く帰ってください」
「そうだね。早く帰りまあす。ところで誰に用があって来たのかな?」
この人、ムカつく...。
絶対わたしのこと、バカにしてるよ。
ほんと、さいってー。
早く帰りなさい!
「わたしのことはどうでもいいですよね?早く帰ってください!」
それでも、わたしの前に立ち塞がり、こっちを睨んでくる。
「俺に口答えしたらどうなるか分かってんの?」
脅してる。
わたしを脅して藤宮さんに攻撃するつもり?
お互いに睨みあっていると、助け船が流れてきた。
「星名」
この声は...。
「へえ、君、青柳波琉のカノジョ?」
「ち...違います!からかわないでください!」
「ま、いいや。どうぞ末長くお幸せに」
嫌みを言うだけいってやつは去っていった。
ある意味、緊張はほぐれたが、あまり良い気はしない。
イライラして青柳くんに当たってしまわないか心配だった。
「星名、どうした?」
「いや、あの...その...」
あぁ、言葉が出ない。
落ち着け、わたし。
こんなので心を乱されるような人じゃない。
「途中まで送ってくよ」
「あ...ありがとうございます」
青柳くんの見事なアシストで大分時間に余裕が出来た。
といっても、ど緊張状態で足がふらふらしているわたしはかなりの危険人物のように感じた。
「大丈夫?具合悪い?」
「いえいえ、そうではなくて...」
ちょっと早足になり、青柳くんに追いかけてもらう。
早く学校から出て人目に触れないところで渡さないと...。
「星名!待って!」
校門を出て左に曲がり、駅とは反対方向に数十メートル歩き、空き地に辿り着いた。
ふぅ...。
ここなら、大丈夫だ。
誰にも見られず、渡せる。
青柳くんが来るまでに心を整えなきゃ。



