冬休みが終わり、いつもの時間に登校すると相変わらずごみ拾いをしているアイツがいた。


その少し先には百合野もいて、せっせとごみを拾っている。


オレも手伝うか...。



「おはよ、星名」



オレの声にピクッと反応して振り返る。


寒いのか、ぐるぐるとマフラーを巻いている。



「おはようございます。というよりまずは、明けましておめでとうございます、ですね」


「あっ、そっか。あけおめ」


「いやいや、新年の挨拶はきちんと言って下さい!はい、もう1度」



なんだよ、そのこだわりは。


不思議すぎんだよ、ほんと。


仕方ない。


言い直します。



「明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」


「やれば出来るじゃないですか!その調子です!」



何がその調子なんだ?


調子を上げてどうする?



「オレもごみ拾い手伝う」


「やって下さるんですか」


「ああ。星名も百合野もやってんのに男のオレがやんないのはおかしいだろ」


「いやぁ、感心ですねぇ。青柳くん、ミスターコンテスト以来、男上げすぎじゃありません?やっぱり練習のお陰ですね。やって良かったですね」


「元からオレは心が広いんだ。今まで発揮して来なかっただけだ」


「そうですか。では覚醒ということで」


「そ。そういうこと」


「プラス俺様キャラも」


「は?」


「なんでもありません」



星名はふふふっと笑っていた。


笑いながらごみ拾いしてるヤツってなんも知らないやつから見たらかなり頭やられてると思う。


なんて思いながらも、オレはそんなヤツの隣に座り、一緒にごみを拾う。


春に出会って、夏に波乱を巻き起こして、秋にはでっかい台風を呼んできて、しばらく会わなかったら冬になった。


イブに再会して今日こうして隣にいる。


星名が来てから、オレは振り回されっぱなしだ。


星名がいなかったら、星名と出会っていなかったら、オレはどんな生活をしていただろう。


この学校はどうなっていたのだろう。


星名のいない生活は信じられないくらい想像がつかない。


それくらいオレの中で星名湖杜という存在は大きくなっていた。



「青柳くん、どうしたんですか?」


「あっ...いや、なんでもない」


「手を動かしましょう!ごみ拾いは時間との戦いです。朝の短時間できれいにしてこそ、ごみ拾いスペシャリストです!」


「分かった。ちゃんとやります」



オレもごみ拾いスペシャリスト目指して頑張ります。


その後は集中してごみ拾いをしたのだった。