嵐を呼ぶ噂の学園④ 真冬でもあったかいのは愛です!編

※星名湖杜の過去


12年前の12月25日。


両親は離婚届けを出した。


父が勤めていた会社のCMに出演していたのが母で、全く違う部署に居たにも関わらず、情報を仕入れ、CM撮影の日にはちゃっかり撮影現場に行って電話番号をゲットして来たらしい。


父の猛アタックが幸をそうし、2人は結婚した。


結婚したことは公にせず、結婚後も母はモデルや女優の仕事をバリバリこなしていた。


しかし、ある日。


ドラマの撮影中に母は体調を崩し、病院に行ったところ妊娠が発覚。


ドラマは降板してそこから2年、病気療養のためと偽り、休業した。


と言っても、もともと結婚を公表していなかったため早く戻らないと怪しまれるということで2年も経たないうちから復帰したらしいが、そこからが地獄だった。


母は復帰する時に結婚と子供がいることを公表したのだ。


ものすごいバッシングを受けながらも母は母なりに努力をしてまた仕事を掴み取った。


そして、わたしたち姉妹にも仕事をさせるようになる。


わたしたちは交互に仕事をし、おむつのCMや産婦人科のドラマの乳児役で出演したりもしていたらしい。


だが、3歳になると状況は一変する。


母はわたしたちに演技指導をし、良く出来た方をドラマに出演させるというルールを作ったのだ。


姉はもともとアイドル気質で誰にでも媚びるし、笑顔を作るのが上手い。


感情をコントロールする能力にも長けており、ある大御所に天才子役とまで言わしめた。


わたしは姉とは正反対で、人見知りはするし、棒読みだし、テレビなどのきらきらした舞台に全く興味を示さなかった。


結果はみなさんお分かりの通り、姉の圧勝。


姉のスケジュールがどうしても開けられないという時だけ、姉が出演予定のドラマのセリフの無いシーンを撮られ、何事もなかったように繋げられたこともあるらしい。


父は双子を差別することに違和感を感じていた。


そのこととすれ違いの時間が長いことが原因で、幾度も2人はぶつかり合った。


お互いに頑固で、幼いわたしたちにはどうすることも出来なかった。