嵐を呼ぶ噂の学園④ 真冬でもあったかいのは愛です!編

「星名、ごめん。今まで色々ごめん」


「青柳くん、ひとまず離していただけませんか。温かいのは確かに名残惜しいですが...」


「あっ...」



青柳くんは慌ててわたしを離すと今度はわたしに頭を下げた。



「本当にごめんなさい。星名の気持ちも考えずに突っ走って...。最低でした。いや、今も最低なヤツだけど許して下さい!」



ぎゃぎゅぎょのぎょ~ん。


わたし、顎、外れちゃいました...。


青柳くんって、こんな人だったっけ?


失礼だけど、意外と俺様キャラで自分から謝るとかしなかったと思うのですが...。


この数ヶ月で変わった?


それは喜んでよろしいこと?


でもここで色々話していてもお互いにキツイだけだから、ひとまず移動しよう。



「わたしもお話ししたいこと、たくさんあるので、お話はお食事中にしましょう。色々とお礼もお詫びもまだでしたので、今日させてください」


「お詫びって、詫びるのはオレの方だ」


「わたしがやりたいんですから、やらせて下さい。さあ、寒いので早く食堂に向かいましょう」



渋々と青柳くんは歩き出した。


青柳くんが荷物を全部持ってくれていて、わたしは彼の2歩後ろを歩く。


会話は無い。


白い息を吐くだけ。


空いた時間の長さは心の距離の長さに比例するみたいだ。


いつになったらわたしたちはまた、"友だち"に戻れるかな?


とぼとぼと、でも確実に歩みを進めていると見慣れた景色が目の前に現れた。


よし。


取り戻そう、無くした時を。


その時を確実に刻もう。


"友だち"として。