その日はそのままお開きになった。
わたしと藤宮さんは途中まで同じ電車に乗っていた。
その道中、藤宮さんは疲れて眠ってしまっていた。
それにしてもなぜ、藤宮さんは嫌いなはずの桐生さんのことを気にしていたのだろう。
わたしにはさっぱり検討がつかない。
「あれ?もしかして星名さん?」
顔をあげると...目が合った。
一体何度目の遭遇だろう。
やっぱり2人は運命の赤い糸で繋がっているんじゃないかと思ってしまう。
「桐生さん...」
あそこまで突き放されたんだから彼だって困っているはずだ。
遭遇し過ぎるのも罪だ。
「ぐっすり寝ちゃってるね」
「今日は、わたしと園田さんと藤宮さんでカラオケボックスに立てこもったんです」
わたしがそういうと、桐生さんは目を丸くした。
ん?
わたし、なんか変なこと...
...って、ああ!
「失礼しました。ただしくは、引きこもった、でした」
「だよね。うっわ~、びっくりした...。強盗になっちゃったのかと思ったよ」
「いやいや、藤宮さんがそんなことするわけないじゃないですか。本当にすみませんでした」
わたしの最寄り駅まであと3駅。
時間にしておよそ6分。
それまでになんとか聞き出したい。
「あの...、つかぬことをお聞きしますが、どうして桐生さんは藤宮さんに嫌われているんですか」
ど直球の質問に、桐生さんは困惑していた。
「はっきりそう言われるとなんか...」
「早く答えて下さい。わたし、あと3駅で降りるんです」
わたしの返しに桐生さんは微笑した。
「ごめん。俺たち、次で降りるんだよね」
ぎゃぎゃぎゃ。
「とは言っても、はーちゃん眠ってるし...。どうしよっかな」
桐生さんが頭を悩ませているところでちょうどアナウンスが始まった。
「次は...」
とその時。
藤宮さんの目が突然開き、左右を確認し、最後に前髪に手を当てて崩れていないことを確認すると立ち上がった。
「では、私は次で降りますので」
「あっ...はい。分かりました。今日はありがとうございました」
「こちらこそありがとうございました。では、よいお年を」
桐生さんには目もくれず、降車ドアの前に立つ。
「星名さんも気を付けて帰ってね。じゃあ」
桐生さんは弓道の道具を持って移動し、藤宮さんとの間に見知らぬおばあちゃんを挟む形で立った。
ドアが機械的に開き、人が降りて時間通りに閉まる。
こんなふうにいかないから恋って難しいんだ。
頭でプログラミングされていても、実際は誤作動だらけだもん。
はあ...。
窓の外を見ようと、曇っているガラスを手でなぞる。
でも、雪は降っていない。
温暖化のせいなのか、最近はホワイトクリスマスになることがない。
サンタさん。
今年のクリスマスもご苦労様です。
そんなことを思いながら、席を立った。
わたしと藤宮さんは途中まで同じ電車に乗っていた。
その道中、藤宮さんは疲れて眠ってしまっていた。
それにしてもなぜ、藤宮さんは嫌いなはずの桐生さんのことを気にしていたのだろう。
わたしにはさっぱり検討がつかない。
「あれ?もしかして星名さん?」
顔をあげると...目が合った。
一体何度目の遭遇だろう。
やっぱり2人は運命の赤い糸で繋がっているんじゃないかと思ってしまう。
「桐生さん...」
あそこまで突き放されたんだから彼だって困っているはずだ。
遭遇し過ぎるのも罪だ。
「ぐっすり寝ちゃってるね」
「今日は、わたしと園田さんと藤宮さんでカラオケボックスに立てこもったんです」
わたしがそういうと、桐生さんは目を丸くした。
ん?
わたし、なんか変なこと...
...って、ああ!
「失礼しました。ただしくは、引きこもった、でした」
「だよね。うっわ~、びっくりした...。強盗になっちゃったのかと思ったよ」
「いやいや、藤宮さんがそんなことするわけないじゃないですか。本当にすみませんでした」
わたしの最寄り駅まであと3駅。
時間にしておよそ6分。
それまでになんとか聞き出したい。
「あの...、つかぬことをお聞きしますが、どうして桐生さんは藤宮さんに嫌われているんですか」
ど直球の質問に、桐生さんは困惑していた。
「はっきりそう言われるとなんか...」
「早く答えて下さい。わたし、あと3駅で降りるんです」
わたしの返しに桐生さんは微笑した。
「ごめん。俺たち、次で降りるんだよね」
ぎゃぎゃぎゃ。
「とは言っても、はーちゃん眠ってるし...。どうしよっかな」
桐生さんが頭を悩ませているところでちょうどアナウンスが始まった。
「次は...」
とその時。
藤宮さんの目が突然開き、左右を確認し、最後に前髪に手を当てて崩れていないことを確認すると立ち上がった。
「では、私は次で降りますので」
「あっ...はい。分かりました。今日はありがとうございました」
「こちらこそありがとうございました。では、よいお年を」
桐生さんには目もくれず、降車ドアの前に立つ。
「星名さんも気を付けて帰ってね。じゃあ」
桐生さんは弓道の道具を持って移動し、藤宮さんとの間に見知らぬおばあちゃんを挟む形で立った。
ドアが機械的に開き、人が降りて時間通りに閉まる。
こんなふうにいかないから恋って難しいんだ。
頭でプログラミングされていても、実際は誤作動だらけだもん。
はあ...。
窓の外を見ようと、曇っているガラスを手でなぞる。
でも、雪は降っていない。
温暖化のせいなのか、最近はホワイトクリスマスになることがない。
サンタさん。
今年のクリスマスもご苦労様です。
そんなことを思いながら、席を立った。



