嵐を呼ぶ噂の学園④ 真冬でもあったかいのは愛です!編

藤宮さんは前髪を気にしながら駆け足で去っていった。


その後ろ姿を呆然と見守るわたしと落胆して座り込む桐生さん。


3、4分ほどお互いにフリーズした後、桐生さんは立ち上がり、



「ごめん、星名さん。色々迷惑かけちゃって」



と言って立ち去ろうとした。


しかしわたしは彼の前にたち、行く手を阻んだ。



「星名さん?」



意味が分からなくて当然だ。


でも、わたしはあなたに分かってほしい。



「藤宮さんのこと、好きなんですか?」



桐生さんは力なく頷いた。



「ならどうして意地悪するんですか?藤宮さんが1番気にしている所をわざわざ攻撃しなくても良いのではありませんか?それが相手を傷付けるって分からないんですか?」


「分かってるよ。はーちゃんが前髪に命をかけてるのは分かってる。全部森下先輩のためだって知ってる。あの人の好みがあの髪型だから」



桐生さん、藤宮さんが森下先輩のことを好きだと知っててこんなことを...。



「俺はどんなはーちゃんでも、好きだから。ただ好きなだけだから。今は伝わらなくても伝え続けたいんだ」



わたしはなんだか泣きそうになってしまった。


こんなにも真っ直ぐな想いが伝わっていないなんて信じたくなかった。



「叶わなくていいなんて俺は思わない。俺が必ずはーちゃんを幸せにするんだ。好きだと思った、特別だって思った4歳の頃から決めてるんだよ。だから俺は諦めない」


「桐生さん、わたし、大変失礼なことを言ってしまいました。すみません...」



桐生さんは笑いながら「いいよ」と言ってくれた。


わたしはもう耐えきれなくなって泣いてしまった。



「参ったなぁ。女の子2人も泣かせちゃったよ」


「わたしは、桐生さんのお言葉に感動して泣いているので心配しないでください」


「そりゃどうも」



桐生さんが漆黒のハンカチを差し出してきた。


あの袴の色と同じだった。


わたしは遠慮なく受け取ると、目元を拭いた。


はあ...。


最近はよく泣いてしまいますな。


笑おうって努力してるのに。


それでも泣きたくなってしまうのはどうしてなのでしょうか。



「星名さん」


「はい」


「星名さんも幸せになってね」


「ほへ?」


「気をつけて帰ってね。じゃ」



それだけ言い残すと、桐生さんは実にあっけなく去っていってしまった。


わたしに2人きりでいると...とこの前言われたから配慮してくれたのかもしれない?


それにしても最後の言葉、なんだったんだろう。


わたし、不幸に見えてるのかな?


負のオーラ出しまくり?


この分だと初詣のおみくじも散々な結果になりそう。


ああ、どうか。


どうか大凶は出ませんように。


数週間も前から祈ってしまうのだった。