「きゃあっ!」



突如藤宮さんが悲鳴を挙げた。


ずぎょっ!


いつの間に...?


藤宮さんの前髪がぐしゃぐしゃになっていた。


とはいえ、これもこれでかわいい。


って、しっかりしろ、わたし!


見とれている場合じゃないぞ!



「お疲れ、はーちゃん」



この声、この呼び方はもしや...。


わたしが振り返るのとほぼ同時に、藤宮さんが泣き出した。



「はーちゃん?」



こりゃ重大なミスを犯しましたな。



「私の前髪に触れるなど100年早いです!」



藤宮さんが取り乱し、大声を出す。



「俺、まだまだ生きるつもりだから100年経ったら触れちゃうけど?」


「なら1億年早いです!それならもうこの世にはいらっしゃいませんよね?」


「1億年か...。確かに今この姿の俺は居ないかもしれない。けど生まれ変わってもはーちゃんと必ず出会うから、その時...」


「ふざけるのもいい加減にして下さい!その呼ばれ方も死ぬほど嫌いです!いつまでも私についてこないで下さい!あなたが去ってくださらないなら私が去ります!では、さようなら」