しかし、想定外のことが起こった。


ドアの前に貼られた紙を見てオレは愕然とした。



"店主インフルエンザのため、一週間休業致します"



オレは重い足をなんとかひぎずりながら、もと来た道を歩いた。


クリスマスだっつうのに、ほんとツイてない。


史上最悪のクリスマスだ。


はあ...。


吐く息が白い。


空を見上げると、粉雪が舞ってきていた。


ふわふわと舞って肩に降りてくる。


昨日見た雪よりも濁って見えるのは、空気のせいだろう。


こっちでも純白な雪が見たい。


空気を浄化してくれるような、


心を浄化してくれるような、


そんな人がいたらいいのに...。


前に向き直り、再び歩きだす。


オレの足音とは別の音が聞こえてくる。


オレは立ち止まった。


クリスマスなんだ。


奇跡が起こってもいいだろう?


前方からやって来る1人の少女。


両手に買い物袋を持って重そうに歩いている。


徐々に近づいてきて向こうもオレの存在に気付いた。



「青柳くん...?」



その声を聞いてオレは安心した。


涙が頬を伝い、こぼれ落ちて地面に染みていく。


オレはその体温に触れたくて、自ら抱きしめた。


オレはキミに会いたかったんだ。


キミが元気か心配でたまらなかったんだ。


今は静かにオレに身体を預けてほしい。


会えて良かったよ。


星名...。