結局天沢くんがうちの学園の転校生ってことで大騒ぎになったから校内放送で式は行われた。


校歌斉唱とか吹奏楽部の演奏がカットされたため大幅に早く終わり、早く帰ることが出来た。



「星名、今日暇?」


「5時までには家に帰らないとですが、それまでは大丈夫です」



帰り道。


なんとなく2人きりで歩いている。


周りにチラホラ生徒も見かけるが、大抵は天沢くんを人目見ようとまだ群がっているだろう。



「あのさ、せっかくだし、花見しない?オレん家から少し歩いたところにわりと大きめの公園があってそこの桜が見頃なんだよ」


「あっ、それ良いですね!行きたいです」


「オレん家で弁当作ってからでどう?」


「はい!ぜひ、そういたしましょう!」



わたしは青柳くんに微笑みかけた。


わたしは今1番幸せ。


こうして桜の木に囲まれて、好きな人と歩いていられるから。


どちらからともなく、手を握る。


このほのかな温度がわたしを安心させて、心まで温かくしてくれるんだ。


どうかこの幸せが永遠に続きますように...。


桜の木を見ながら、そう強く願ったのだった。





筑波嶺の 峰より落つる 男女川 恋ぞつもりて 淵となる