ペトリコール

瞼を開こうとするけれど重い重い扉を開くみたいにピクリともしない。
もう少しこのまま眠っていたいと体が目瞼を開くのを拒否しているみたいだ。
だって、今、とても寝心地がいいから。

私がいつも眠る場所は荷物置き場として使っている狭い部屋の押入れの中。
薄暗い押入れの中に薄い布団とは違うのは
戻り行く意識の中でもわかる。

それは夢なのか、現実なのかわからないけれど
あと少しこの感触を感じていたい。

何も考えずこのまま…身を委ねたい。

『いつまで寝てんだ!この怠け者が!!』

だけど、あの人の怒鳴り声であんなに重かった
瞼はパチリと開いたと同時にハッと我に返り起き上がりこぼしのように起き上がる。

耳元で怒鳴られた気がしたけれど、あの人はいなかった。