遺書 北村茉依
これを手に取ったそこの貴方。これを三組の浪川雫に渡して欲しい。




先立つ不幸をお許し下さい。これ言ってみたかったんだよね。雫、元気?ごめんね。飛び降りたりして。
ずっとあなたに相談したかった。あなたの前で泣きたかった。でも私にはその勇気は無かった。だから飛び降りたのはあなたのせいじゃないからね。
私は、自分の親が嫌いだった。医者になって欲しいのはわかるけど、あんな毎日怒られてたらやる気なんて無くなっちゃうよ。せっかく今まで勉強して、こんな進学校に入れたのにね。勿体ないかも。こんな進学校に通う未来ある高校生が、自殺なんていじめでもあったのか、っておもわれるかもしれないけど、いじめでもないからね。
私が死んだのは、親のせいでもないし、雫たち友達のせいでもないよ。誰のせいでもない。自分の死んだ世界を見ることは出来ないけど、私は知ってる。私が死んだってこの世界はなんも変わんない。たとえ私が未来を担う若者たちのために環境資源を大切にしてくれって謳って死んでも、変わんない。そんなこの世界に嫌気がさした。ただそれだけ。
ごめんね。バイバイ。
次会うときは、素敵な世界だといいな。
ありがとう。大好きだったよ。