私はそう思いながら学校に行く支度を始めた。友達に会えるのは嬉しいけど、共学だから男子がいるのが憂鬱。

引き出しを開け、腕時計を取り出す。ブラウンがベースになっていて、秒針はトマトのように赤い。カーネーションの花があしらわれた盤面には、トマトや太陽、オリーブの実などがデザインされている。ヘタリアのスペインさんがモデルの腕時計。お気に入りの腕時計だ。

「行ってきま〜す!」

部屋を出る時と家を出る時に挨拶をし、私は学校へと向かった。



「梓ちゃんだ〜」

「今日も目を奪われるほどの美しさ……」

学校へ向かって歩いていると、男子たちがヒソヒソと話しているのが聞こえてくる。聞こえるように言ってるのはわざと?私に振り向いてほしいから?

私はため息をつきたくなるのを堪える。堂々と話しかけなさいよ。話しかけもせずに告白されたって、付き合いたいとは思わないじゃない。

ヘタリアの国の人ならもっとアプローチすると思うわ。イタリアちゃんとかフランスさんとか。