「あなたが衣装を破いたり、今までメモを挟んだりしたんですか?」

私が訊ねると、女子生徒は「あ〜あ、バレちゃった!」と私を睨みつけながらハサミを床に放り投げる。ガチャンと音を立ててハサミは部屋の隅に滑っていった。

「私はね!あんたが大っ嫌いなのよ!!」

女子生徒は怒りを全身に表し、私を指差す。そして言った。

「綺麗になる努力を何もしてないくせに、ただ美人ってだけでみんなからチヤホヤされて!!それなのに友達は多くて好かれてて……。ムカつくのよ!!なんでいつも私の恋は実らないのよ!!もうあんたなんかどっか行きなさいよ!!」

ああ、またか……。私はズキズキと痛む胸を押さえる。こんなことは昔からあった。

この世界は、ヘタリアのようにみんなが仲の良い平和な世界じゃない。誰かに好かれると同時に誰かに嫌われている。そんな残酷な世界。

「……先生を呼ばれる前にさっさと出て行け。もう二度と俺たちに関わるな!」

神木が女子生徒を睨む。女子生徒は「生意気なのよ!!」と吐き捨て去って行った。部屋に沈黙が訪れる。