あなたの愛に包まれて

剣持と匡祐を見て千晃が微笑む。

その微笑みがあまりにも切なさと儚さをはらんでいて二人は心が締め付けられた。
「帰らなきゃ・・・」

こんなに絶望しても、こんなに愛してもらえなくても、父の言うことを聞かなくてはと思ってしまう自分に嫌気を感じながら千晃は身支度を整えた。

千晃の痛みが分かるからこそ、剣持は千晃の着替えを用意し、匡祐は着替える千晃のために病室の外へ出た。

剣持と目を合わせた匡祐。
二人は目を合わせてから力なくため息をついた。