「大丈夫ですか？」
いつもは千晃に厳しい剣持が千晃の机の前で心配をしている。
父に呼び出されたその日から千晃は狂ったように仕事に打ち込んだ。

いくつもの新企画を考えたり、今までは目を通していなかった書類にまで目を通す。
参加していなかった企画会議や戦略室の打ち合わせにまで顔を出した。

一日の時間が足りない。

千晃は寝る時間を削り仕事に打ち込んでいた。

パソコンに向かう千晃の机に剣持がスープを置く。

「何か食べないと本当に倒れますよ？」
「・・・」
剣持の言葉にも千晃は反応しない。
「お嬢様のお気持ちはわかりますが、サイズがさらにダウンして衣装部も悩んでいます。」
千晃が毎日来ている服はマスコミやSNSに取り上げられてもいいようにいつも神崎の新作や売り出したいものを衣装部が決めている。
千晃の服のサイズが変わるとその衣装部が用意するのに困ると昔から厳しく管理されてきていた。