千晃が奇跡的に目を覚ましてから千晃は一通り検査をした。目覚めたばかりで体力がなく、すぐに眠りに落ちてしまう千晃。時間をかけて検査を行った。そして検査の結果、脳には損傷はほとんどないことが分かった。ただ、身体機能は一年間寝たきりだったためかなり低下している。
「感染症には十分に気を付けてくださいね。徐々にリハビリをして体力や筋力を取り戻していきましょう。」
医師の言葉に車いす姿の千晃が頷いた。
匡祐が医師からの説明を聞き終えてから千晃の車いすを押して病室へ戻った。

病室の扉を開けるとそこには剣持がいた。
剣持は千晃が目を覚ましてから再会するのははじめてだった。

千晃の姿を見ると剣持はすぐに千晃の車いすの前にひざをつく。
そして近くで千晃の顔をじっとみて、その目覚めの奇跡を実感してから、千晃の体を強く強く抱きしめた。
「もう、心配かけて・・・お嬢様は・・・全く。」
「・・・ごめんなさい」
「私の寿命が縮みましたよ。本当に。あなたは昔から私に心配ばかりかけて・・・」
「・・・ごめんなさい。」
剣持が泣いているのが千晃に伝わる。