千晃は福山財閥の子会社で働いていた社員を神崎の自分の会社にたくさん受け入れた。

倒産寸前まで追い込まれた企業も吸収合併し、なんとか持ち直すところまできた。

匡祐と別れた悲しみの分も、失った命の喪失感を埋めるように仕事に明け暮れた。
そして自分の父が病気になったことをきっかけに、正式に神崎の後継者として代表になった。







離婚してから匡祐は自分の母と海外へ行ったことは情報が来ている。

でも一切連絡はしていない。

今どこで何をしているのかも千晃にはわからなかった。

ただ、生きていてくれたらいい。もう一度笑っていられたらいい。

そう願いながら今日も窓の外の景色を見ていた。