千晃よりも先に連絡を受けた匡祐はその日、千晃と剣持、助川を呼び話を切り出した。
「千晃のお父さんから連絡が来たらしいんだ。千晃の秘書が連絡をくれた。」
千晃の表情が一気にくもる。匡祐も千晃の表情がくもったことに気づき、すぐに千晃の手を握った。

「千晃のお父さんと向き合うときが来たんだ。」
匡祐の言葉に千晃が首を横に振る。
「無理だよ。私にはできない。無理だよ。」
「無理じゃない。」
匡祐がはっきりと否定する。
「大丈夫。千晃一人じゃない。俺もいるだろ。」
匡祐が千晃をまっすぐみつめる。

それでも千晃はもう一度首を横に振る。
「だめ。あなたを巻き込めない。」
千晃はいままで父になんども追い詰められてきた。剣持のことも千晃にとっては恐怖でしかtなかった。父は匡祐にだって何をするかわからない。

愛しているからこそ、大切な人をこれ以上自分の人生には巻き込めないと思った。