剣持が言葉に返せない姿を千晃は初めて見た。

匡祐は剣持から黙ったままの千晃に視線を移す。
「あなたは何を選びますか?」

自分で何も選ばせてもらえなかった千晃が生まれて初めて選択を迫られる瞬間、千晃の瞳からなぜか涙が流れた。

その涙に一瞬驚いた表情を見せた匡祐は、すぐ優しい微笑みに変わった。






すべてを包み込んでくれるような温かさ。
千晃のずっと求めていたものがそこにはあった。