そんな匡祐のもとに一本の電話が入った。
助川が慌てて電話を繋いでくる。
「匡祐様。神崎さんが・・・」
その言葉に匡祐は胸騒ぎがした。

連絡は千晃の新しい専属秘書からだった。
今日の会議を延期してほしいという連絡だ。
匡祐が理由を聞くと秘書は少し悩んでから『お嬢様の所在がわかりません』と言葉を発した。

秘書は自分の不手際だと千晃の父に首を切られるのではと恐れて匡祐に真実を打ち明けた。
『そちらにお嬢さまはうかがっていませんか?』
その言葉に匡祐は「来ていない」と答える。
すると秘書の口から『歩けないくらいのやけどなのに・・・』と声が漏れた。
「やけど?」
匡祐の質問に秘書は千晃の追っている両足のやけどについて話をした。
『昨日、両足に熱湯がかかりやけどを負っています。処置の際、両足の爪もはがれていたことがわかりました。あの状態では歩けないはずなのですが・・・』
匡祐は電話を切ると車のカギを握り走り出した。