あなたの愛に包まれて

匡祐は千晃と連絡が取れないことがずっと気がかりだった。
それでも下手に動けない。

自分の動き方ひとつで千晃が自分の父親からひどい仕打ちを受けるかもしれないと予測できる。

匡祐自身も忙しい日々を送りながら、何度も千晃に連絡を取ろうとした。それでも連絡を取り合ってくれない。

千晃の携帯に連絡をしてもすぐに切られてしまうため、ほかの誰かが携帯を持っていることが考えられた匡祐はメールすらできなかった。

「お久しぶりです」
匡祐は助川を通して何とか剣持と連絡を取った。
久しぶりに会う剣持は以前よりも柔らかく見えた。

「え?」
剣持の言葉に助川も匡祐も驚いた。
「現在は営業2課に勤務していますが2日後には会社を解雇されます。」
剣持が営業2課へ移動になった日。いざ、営業2課のフロアに向かうとそこには剣持の席はなかった。