あなたの愛に包まれて

匡祐に会ったらもっと自分は匡祐を巻き込んでしまう・・・。


千晃はいつの間にか消えてしまいたいという思いに心が支配されていた。


「お嬢様。何かお口にしていただきませんと」
「いらないといったでしょ」
千晃の言葉に秘書は冷たい口調で聞く。
「それならば医者を呼び点滴します。」
胸ポケットから秘書が携帯を出そうとするのを見て千晃は秘書に言った。
「ハンバーガーが食べたい・・・」
小さな声でつぶやく千晃。
千晃はいつの日か匡祐や剣持、助川とこの部屋でハンバーガーを食べた日を思い出していた。

「わがまま言わないでください。医者を呼ばれたくなければそれを食べてください。」
秘書は千晃の机に並ぶ食事をちらりと見てから部屋を出て行った。