身に着けるのは私なのに・・・。

私の意見など聞いてももらえない。

「千晃さんは?」
「へ?」
控室に響き渡るような声に千晃が控室の入り口を見る。
そこにはタイトなスーツを着こなす長身の男が立っていた。
「匡祐様」
助川の言葉に剣持が慌てて口を閉じる。

匡祐の言葉は一瞬にしてその場の空気を変えた。
その姿は企業のトップとしての貫禄すら感じる。

自分と年齢もそんなに変わらないのに・・・。

千晃があっけにとられていると
「千晃さんは何が着たいですか?」と再び匡祐が質問をする。