ピロンッ
彼からのメッセージ。


「ガンバ」


えぇぇぇぇぇぇ!
ちょっと待ってぇぇ!
おかしくない?
この流れ、良いの来るよね⁉
おかしくない⁉


『えぇぇ……助けてよぉ…』


と、呟きながら同じ文を送る。
おかしいでしょ……。


「うそうそ」
『やめてよ~…』
「ごめんって」
「電話、しようか?」


良いの?
やったー!
そう思って、すぐに上の電話ボタンを押した。
彼と電話するのは久しぶりで、何故か私はうきうきしていた。
プルルップルルッ…ガチャッ


『出るの速いね』
「かけるの速すぎ」
『で、今、そっちはどうしてるの?』
「今?お前が出来ないことしてた」
『?…なにそれ?』
「集中して勉強」
『ちょっ…!!馬鹿にしてるでしょ!!』
「してねーし」


いつものようにからかわれる。
少しくらいはやり返したくて、ある作戦を実行することにした。


『…もういい!!そんなこと言うなら切るからね!!バイバイ!!』


怒り返す作戦。
成功するか…⁉








「あっそ。…切りたいなら切れば?」


失敗ーーー!!!!!⁇⁇⁇
でも、今回は諦めないぞ!!
もうひと踏ん張りしてみることにした。


『ほんとに切るよ!!』
「え、マジで言ってんの?」


そんなことを聞きながらスマホを耳から離す。


「おい…おーい…!」


………
沈黙が続くが、向こうも電話を切らない。
切ってみよう!
ぷつっ
どうなるのだろうか。
少しそわそわする。
すると、三秒もたたないうちにメッセージが彼から届いた。


「…本気?」


面白そうなので、もう一度電話をかけてみることにした。
プルッガチャッ
彼は一瞬のうちに電話に出る。


『電話出るのとてつもなく速いじゃん。スマホの前で待ってた?』
「うるさい」
『待ってたでしょ~!』
「馬鹿。待ってるわけねーだろ!」
『じゃあ、ほんとに怒ったと思った?』
「それもない」
『ほんとかな~?』
「馬鹿か。ない」


この奥で、必死に否定している彼を想像してしまうのは私だけだろうか。
だって、彼は慌てた時によく馬鹿、と言うこと、知っているのだから。
普段は冷徹で冷たい彼。
けど、今は違うようだ。
そんな彼が大好きで大好きなんだろうな、私は。
思ったことはすぐ声にしてしまう私。


『好きだよ』


と、呟いた。
すると彼はすぐに反応する。


「馬鹿だな。俺の方が好きだわ。バーカ。」


そういうとこだよ。
どれだけ私を好きにさせるんだ。
顔が熱くなるのが分かる。


『ばーーか』


彼を真似て言ってみる。






私の作戦は、失敗。