『第一に、被害者をどうやってピックアップしたのか。
先程の資料にもあったように、
35年前も現在も、犯人は幸せを壊すことに執着しているようです。
となれば・・街行く人達の中からどうやって選定をしたのか。』
「・・・そうか・・。
今はSNSがあるから幾らでも調べる方法があるかもしれないけど、
35年前だったら情報を得る手段は限られてくる。」
『第二に、何故犯行は止まったのか。
椎名班長や堺班長が当時、
“犯人は死亡した”と結論したように、
このような無差別タイプの犯罪者は、
余程のことが無い限り犯行を止めません。
本当に死亡したのなら、
35年前に戸籍削除された人間、
あるいは失踪届が出された人間。
違うのなら他の理由を考えて、
それに関連した情報を。
私達警察の武器である、
様々な“情報”“履歴”を駆使して、
35年前にタイムスリップしましょう。』
「・・・年数は違うが、過去の事件を調べるなら秋の横浜で慣れてるからな・・。」
『遠回りが結果的に近道になる事がある。
35年前の硫酸魔を突き止めて、現在の硫酸魔が誰なのか結論を出しましょう。』
「分かりました。じゃあ俺は当時の被害者について調べます。」
『私は“死亡した”以外の可能性も考えて、
当時の別件逮捕者を確認します。』
ヒデさんのテンションに引っ張られて、
自然と俺のボルテージも上がっていた。
夏に一度使った水鉄砲ではなく、
本物をホルスターに入れて捜査6課を出る。