「すまない・・。

君は1日でも早い神野の1課復帰を願っていたでしょうが・・・

このヤマが決着するまでは待ってほしい。」


『・・平松刑事部長には・・
改めて感服しています。』


「・・・・?」


『椎名班のメンバー。

堺班長。堺班のメンバー。

捜査1課の皆さん。』


「・・・・・・。」


『あなたはその誰よりも、

仲間の・・椎名班長の仇を討ちたいと思っていらっしゃるはずです。』


「・・・・・・・・・・・・・・。」


『刑事としての感情を押し殺して、
刑事部長として取るべき采配を執っている。

やはりあなたのような人格者に付いてきて良かったと感謝しています。』


「・・・・・・・・・・・・・。」


『・・・・・・・・・。』


「・・椎名は・・・本当に鬼の生まれ変わりかと錯覚するぐらい・・

どんな卑劣な犯罪者にも、
どんなに悲壮な真実にも、

気丈に絶対的な正義を示してきた。」


『・・・・・・・。』


「ただ・・誰もが怯む眼光を放つ鬼が、
一瞬にして人間に戻る時があった。

申し訳なさそうに・・私と目もろくに合わせられないままオドオドしながら・・

“娘の授業参観なんです”
“娘の運動会なんです”

“娘の卒業式なんです”

“娘の成人式なんです”

休暇を頼んでくる時、椎名は誰よりも優しくて穏やかな表情をしていた。」


『・・・・・・・・。』



「・・ヒデトシ・・・。

俺が理性を失う前に、
椎名の“幸せ”をぶち壊した犯人を捕まえろ。

じゃないと俺は・・正義という名の“暴力”をかざす事になる。」


『必ず捕まえます。

捜査6課の名にかけて、

平松先輩や椎名先輩の想いも背負って、
必ず神野くんと私が決着をつけます。』