「じゃあ後は結婚式ですね!」


「名前忘れちゃったけど、“都内で一番人気の式場でやりたい”ってはしゃいでた。

まぁとにかく、顔合わせが終わったから妻と私はしばらく小休止。」



「これは・・椎名班長が“お爺ちゃん”になる日もそう遠くないかもですね。」




「・・・・・・・・・・・・・。」


“ゴンッ!”


「ちょ!?大丈夫ですか班長!!?」


「いや・・別に想像してニヤついて油断したわけじゃないからな?

・・まったく、気が早いんだよお前は。」


「これまで何人もの被疑者の小便をちびらせてきた鬼の椎名も・・

電信柱に頭ぶつけまくる“じぃじ”になっちまう日が来ちゃうのかぁ~!」





ジンジンするおでこの痛みに耐えながら、
登庁して1課へと向かう。


「・・・・・・・・・・・?」


高山は何も気付かずに自分の席に行ったが、

“なにか・・空気が少し変だ・・”
扉を開けた瞬間に感じ取った。





「椎名君、おはよう。」


「おはようございます。」


“堺班”の班長、堺さんが私の席まで来る。

・・・その表情は朝から険しい。


「朝礼後、ちょっとだけ付き合ってくれるか?」


「・・・・・昨日何かあったんですか?」


「相変わらず鋭いなぁ君は。」


「お互い自分の班を持って、
長い年月が過ぎましたが・・

“元 相棒”の表情ぐらいすぐ読み取れますよ。」