「・・ここは・・路地裏の・・
見つけにくい場所にありますが・・

多くのお客様にご愛用頂いています。

人見知りの僕にご遠慮してくださり、

皆様お一人か・・多くてもお連れ様一人だけでお越しくださり・・

色々なお話を僕に聞かせてくれます。」


「・・・・・・・・・。」


「“自分の息子が背番号1を剥奪された”と嘆くお父さん。

“優秀な部下が産休に入ってしまう”と悩む課長さん。

“元カノが結婚する”とヤケ酒を飲むお兄さん。

・・たくさんのお話を僕に聞かせてくれました。」


「・・・・・・・・・・・。」


「僕はただ、そういった話をミライ君にも教えただけです。

これが“傷害教唆”にあたりますか?」


「あんたはそうやって、
安全な場所から傍観して楽しんでたのか?」


「・・ご安心ください神野さん・・。」


「・・・・?」


「僕は氷室コウスケの血は受け継いでいますが、小松サトミの血は流れていません。

僕の体には、大恩あるお母さんの血が溢れています。

死ぬ間際に僕への期待を示してくれたミライ君には申し訳ありませんが・・

僕が氷室さんから受け継いだのは、
バーテンとしての腕と・・」


「・・・・・・・・。」


「・・人見知りの性格だけです。」


「・・・・・・・・・・・。」


「・・・・・・。」


「・・悪いが信用できない。」


「・・・正直に言ってくださり逆に気持ちが良いですよ・・。」