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娘のルミは・・
そんなに体が強いほうではなくて、

小さい頃からよく体調を崩しては高熱にうなされていた。


仕事柄、私が家に帰ってくるのはいつも夜遅く。そしてまた朝早く出掛ける。

そこに平日や土日なんて関係ない。


だから妻にも・・言葉では言い現わせられない苦労を掛けた。



「・・・・・・パパ・・。」


「・・・・・うん。ただいま。」


熱にうなされ、辛そうにベッドで眠るルミのおでこから冷えピタを取り、

そこに自分の額を合わせる。


仕事柄、大きな闇と闘うこともあった。

自分自身がその闇に包まれ、
倒れそうになったこともあった。


仕事柄、やるせない悲しみと直面することもあった。

自分自身がその悲しみに圧倒され、
足が止まってしまうこともあった。


それでも・・家に帰宅して、

額を合わせるとギュッと手を握り返してくれるルミのおかげで・・


たまにしか取れない休み、
いつも近所の公園まで一緒に行って、

いつも肩車をねだってきたルミのおかげで・・


妻と娘がいるこの“幸せ”のおかげで、
私はここまでやってこれた。