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「こちら神野。今帰宅したので、着替えてからとりあえずそっちに行きます。」


『どうでした?』


「バッチリ。写真撮らせる格好にしてバーテンダーの指紋を採取できました。

今パソコンにデータ同期させてます。」




触っただけでは確実に分からない。

まさかスマホケース全面に、

同色の指紋採取キットが貼られていたなんてお釈迦様でも気付くまい。


ただそれだけの用途なので、
中身は空っぽのスマホ。

松阪に主導権が移った後は、
趣味の話やあれこれ聞かれたので、

ヒデさんが送ってくれたデータを元に、

今回は“山登り”好きの“山ボーイ”として、
アルバムを見せながら適当にこなした。



『この松阪氏という人物もこちらで少し調べてみます。』


「お願いします。
名前こそ聞き出せなかったが、

あの店を松阪に紹介した元バーテンダーってのは氷室コウスケの事かもしれない。」


『そうなると彼も、初代硫酸魔の息がかかった人物・・ミライの仲間かもしれませんね。』