母さん  氷室 サトミ

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「これを使え。俺の声を録音しておいた。
これで・・“硫酸魔=男”だと警察を欺く。」



触れられる喜びを知ってしまった。

撫でられる愛しさを知ってしまった。





「・・2人も3人も同じなんだよ・・。

ミドリに硫酸をかけた時からお前はもう、
こっちの世界の住人じゃなくなった。」



拒否する勇気より、
失う恐怖のほうが勝った。

否定する理性より、
肯定される本能が勝った。





「うまくいったか・・?
それでこそ・・俺の妻だ・・!!」



・・・・罪悪感よりも・・・・



「決めた。いつも死んだ目してた売れない役者。次はアイツにする。」



・・コウスケさんに抱きしめられる幸福感のほうが・・・・私を支配していた。