「やがて彼が試作したエンジンが生まれ、

それを搭載した車が開発されて・・
“テストドライブ”が始まる。


運転試験場に同行した彼は、そこでテストドライバーにすごく具体的な指示を出した。

“こういう走り方をしてほしい”

“ここではスピードをこれぐらい出して欲しい”

“この坂道ではあえてこうしてほしい”


自分がテストドライバーだった時の経験を基に、

どうすればより正確で、より必要なデータが取れるか彼は知っていたから。


“このエンジンはもっと良くなる”

彼の指示でテストドライブは的確に進められ、多くの改善点を生み出した。」


「・・・・・・・・・。」



「その数年後、
トヨタ自動車はある一台の新車を発表する。

彼は“生みの親”として、

豊田社長から、“この車の名前を付けて欲しい”と直々に頼まれて・・

そして彼は、
それを“プリウス”と名付けた。」


「・・凄い・・・。
その名前・・私も聞いた事あります。」


「もし彼が入社後すぐに、本人の希望通り“技術開発部”に配属されてたら・・

きっとプリウスは生まれなかったと思う。

言わば彼は・・他の誰よりも会社から期待されてたんだと思うよ。」


「・・・・・・・・。」