クローゼット番外編~愛する君への贈り物

ミシェルが行きたいと言ったのは、俺の両親の墓だった。
向かう途中で、野に咲く花を摘み、彼女はそれを墓に供えて、両手を組み、目を閉じてじっと祈る。
その姿に、俺は胸が熱くなった。



俺は、自分のことしか考えていなかった。
だけど、ミシェルはきっと、結婚のことを俺の両親に報告したかったんだって気が付いた。
それほど両親のことを考えていてくれたんだと思うと、俺は自分自身のことが恥ずかしくてたまらなくなった。
墓はすぐ近くの裏山にあるというのに、俺は昔から父の墓にはあまり行ったことがなかったし、母さんのことさえも考えてはいなかったんだから。



(俺って最低だな…死んでしまったって、俺の親だってことには変わりないのに…)



俺は、ミシェルのちょっと後ろで両手を組んで、心の中で母さんに詫びた。
モルドでのことを考えたら、そう簡単に謝れることではなかったが、とにかく母さんのことを忘れていたことを謝り、そして、ミシェルと結婚することを報告した。
目を開けたら、ミシェルはまだ同じ態勢で何事かを祈っていた。
そして、しばらくして、彼女がおもむろに振り向いた。



「ありがとう、ジョッシュ。」

「え?何が…?」

俺の問いには答えず、ミシェルはただ微笑んだ。



「……おばさまに会えて良かった。」

ミシェルは、とても晴れ晴れとした顔をして、そう言った。



「母さんに何を言ったんだ?」

「……内緒よ。」

「なんだよ、教えてくれても良いじゃないか。」

ミシェルは、悪戯っぽい笑みを浮かべ、俺の手を取った。



「……さぁ、帰りましょう。」