クローゼット番外編~愛する君への贈り物

その日の夜、ミシェルは突然、トルスの町に行ってみたいと言い出した。
ダースとは少し方向が違うから、トルスはまた今度にしてはどうかとシュミットさんは言ったけれど、ミシェルはどうしても行きたいと強い意志を示した。
そう言われてしまったら、シュミットさんが折れないわけにはいかない。
結局、少しだけ、トルスに立ち寄ることになった。







「わぁ…!懐かしいわぁ!」

トルスの何の面白みもない鄙びた風景に、ミシェルは感嘆の声を上げた。



「全然変わってないわ。
あの頃のまんま…!」

そんなことを言って、さらにミシェルは顔を輝かせた。
俺には、なにがそんなに良いのかわからない。
ミシェルにとってもこの町は、それほど良い思い出はないはずなのに、どうしてそんなに嬉しそうなのか、俺にはよくわからなかった。



「私は少し隣町に行って来るから、君の家で待っていてくれ。
大した用じゃないから、そう遅くはならないと思う。」

そう言って、シュミットさんは馬車で出かけた。



「ジョッシュ…私、連れて行って欲しいところがあるの…」

「連れて行ってほしい…ところ…?」

ミシェルは微笑み、深く頷いた。