クローゼット番外編~愛する君への贈り物





それから、ミシェルの容体は薄紙を剥がすように回復していった。
こけていた頬はふっくらとし、ドレスからはみ出た棒のようだった手足も、女性らしい丸みを帯びて行った。



ここに来て初めてミシェルに会った時とは、まるで別人みたいだ。
ミシェルが元気を取り戻してくれたこと…俺のやったことが報われていることが嬉しくてたまらなかった。



だが、そんな中、ウェリス医師だけは、ミシェルの回復をあまり喜ばなかった。
なぜなら、ミシェルが回復すれば、ウェリス医師の評判に傷が付くからだ。
すでに、彼女が回復していることはこのあたりの人々の知るところとなり、今まで診立てを外したことのないウェリス医師が初めて見立てを誤ったと噂されていたからだ。



「良いかね。ミシェルの内臓はかなり悪くなっている。
薬だけで、内臓自身が回復することなど、あり得ないんだ。」

その指摘は、あながち的外れというわけでもなかった。
母さんの遺した帳面にも、そのことは書いてある。
だけど、彼女は実際に回復しているんだ。
ウェルス医師は、それは彼女の気の持ちようだと言った。



「つまりはまやかしみたいなものだ。」

「そんなことはありません!
彼女の体調は明らかに良くなっています。
ミシェルは絶対に完治します!」

「そんなことはあり得ない!」

ウェルス医師は、持論を曲げようとはしなかった。
それに怒ったシュミットさんは、それ以降、ウェルス医師の診療所へミシェルを連れて行くことはなくなった。