クローゼット番外編~愛する君への贈り物

「ジョシュア…どうか、あの子が旅立つ日まで、あの子の傍にいてやってもらえないだろうか?」

「シュミットさん…ミシェルはそれほど悪いのですか?」

「あぁ…ここの医師にももう手の施しようがないと言われている。
いつ死んでもおかしくない、ともな。」

「そんな……」

口ではそう言いながらも、理性ではその通りだろうと思っていた。
さっきのミシェルの様子を見れば、俺みたいな者にもそのくらいのことはわかる。
だけど、俺はその現実を受け入れる気にはなれなかった。
なんとかして彼女を少しでも楽に…元気にしてあげたい。
それがいかに難しいことだとしても。



「シュミットさん、俺を診療所の先生に会わせて下さい。」

「どうするつもりなんだ?」

「ミシェルの症状を聞き、それによって薬を作ります。
これからは、俺にミシェルのことを任せていただけないでしょうか?」

「……しかし、ウェルス医師はとても優秀な医者だぞ。
その彼が、もう無理だと言っているのだ。
いくら君でも……」

「シュミットさん、お願いです!
どうか、俺にミシェルを任せて下さい!
少しでも彼女を楽にさせてあげたいんです。
そして、一日でも長く生きてもらいたい…!」

そう言ったら自然と涙がこぼれて来て…
俯く俺の肩を、シュミットさんが優しく叩いた。