クローゼット番外編~愛する君への贈り物

「それで…ミシェルは……」

俺が質問すると、シュミットさんの顔にはさらに暗い影が差し、いやな胸騒ぎを感じた。
俺は、どきどきしながらシュミットさんの返事を待った。



「ミシェルは…結婚式の前日に、手首を切ったんだ。」

「えっ!?」

「しかも、薬も大量に飲んだんだ。
ミシェルは、何日も生死の淵を彷徨い、どうにか命を取り留めることは出来たが、体へのダメージはとても大きなものだった。
私はその時になって、やっと気付いたんだ。
ミシェルは、真剣に君を愛している。
君と引き離しては、きっと、ミシェルは長生きはできないだろうということに。
だから、また君のお母さんに薬を頼み、君たちを一緒にさせようと思い、トルスへ行ったんだ。
だけど、君はいなかった。
それどころか、君のお母さんは亡くなられたと聞いた。
それから、私はずっと君を探していた。
だが…手掛かりひとつ見つけられず、その間にもミシェルの体調はどんどん悪くなって…
それで、藁にもすがる想いでここに来たんだ。」

打ちのめされたような気分だった。
あと少し…俺が、あと少しトルスにいたら、ミシェルがこれほど悪くなることはなかっただろうし、彼女と一緒にいられたのに…

激しい後悔の念が俺の胸を埋め尽くした。