クローゼット番外編~愛する君への贈り物

「いや、二軒だけだ。」

「そ、そうか…あ、酒がもうないな。
さぁ、飲めよ。」

俺は、そいつのグラスに酒を継ぎ足した。



「悪いな、ありがとう。
あ、俺は、ルイスっていうんだ。
……あんたは?」

「俺は、ジョシュアっていうんだ。
よろしくな。」

俺たちは、握手を交わした。



「それで……患者には貴族が多いって話だけど…
やっぱり年寄りが多いのか?」

「確かに年寄りもいるが、意外と若い者や子供もいるぜ。
可哀想にな。」

「そうか……」

ミシェルのことが訊きたくて仕方がない。
しかし、そのことに抵抗もある。



「そういえば、俺の知り合いの貴族も子供の頃から具合が悪いって言ってたよ。
もしかしたら、ここで静養してるかもしれないな。
えーっと…なんて名前だったかな?」

俺は白々しく、名前を考える芝居をした。



「あ…そうだ。
確か、そう…シュミットさんって言ったかな。
そこの娘だ。」

「その人かどうかはわからないが、貴族のシュミットさんなら、うちにかかってるぜ。
ミシェルっていう娘が、具合が悪いんだ。」



(ミシェル……!)



俺の鼓動は、激しく動き始めた。