クローゼット番外編~愛する君への贈り物





(俺には関係ないことだ…)



そう思うのに、家に戻って来てから、ミシェルのことが頭から離れず…さっきからずっとソファに横になってるのに眠ることさえ出来なかった。



ミシェルは具合が悪そうだと言っていた。
マンソンは、便利は良くないが、自然に囲まれた良いところで、貴族の別荘がたくさんある場所だ。
それを考えれば、やはりミシェルが具合が悪いというのは本当だろう。
きっと、マンソンで静養してるんだ。



しかし、それがどうしたっていうんだ?
俺にはもう何の関係もない人だ。



俺は、固く目を閉じた。
眠ってしまおう。
そして、余計なことを考えないようにするんだ。
昨夜は寝てないんだから、眠いはずだ。



なのに、どうしても眠れない。
ミシェルのことが気にかかって仕方がない。



「……畜生!」



俺は立ち上がり、薬の部屋に向かった。
二度と足を踏み入れることはないと思っていたその部屋に…
そこで、ミシェルの薬についての帳面を探した。



(……あった!)



懐かしい母さんの文字…
そこには、ミシェルが来た日付と症状、調合された薬について詳細に書いてあった。



(あ…そうだ……)



俺は、棚に収められた古い帳面に手を伸ばした。
ぼろぼろになったそれは、我が家に伝わる秘伝の書だ。
俺は、その二冊を読み耽った。
食事を摂ることさえ忘れて、一心に…