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「じゃあ、行って来るね。」
「気を付けてね。」
俺は、母さんに小さく手を振った
ミシェルがいなくなってから、早くも数か月の時が流れた。
いつしか俺も母さんも、ミシェルのことは話さなくなった。
母さんは俺に気を遣ってくれてたんだと思う。
まるで、ミシェルという人間が端から存在していなかったかのように、俺の家では不自然な程、ミシェルの話をしなくなった。
俺は今まで以上に仕事に精を出した。
朝から晩まで、薬草を摘みに行ったり、薬の調合をしたり…
そうして時を塗り潰すことで、ミシェルのことを考えないようにしたんだ。
(……母さん、大丈夫かな。)
俺は、窓越しに空を仰いだ。
夕方近くから急に雨が降って来て…雨はどんどんきつくなっていった。
俺は、ランプと傘を持って、外に出た。
母さんが向かったのは裏山だ。
そこに、薬草を摘みに行ったんだ。
雨は勢いを増すばかりだった。
猛獣はいないけど、ひとりで暗い山に入るのは危険だ。
もしかしたら、入れ違いになったのかもしれないと思い、俺は山の麓から家に引き返した。
けれど、母さんは家には戻っていなかった。
俺は、ひとりっきりの部屋の中で、まんじりともせず、次の朝を迎えた。
「じゃあ、行って来るね。」
「気を付けてね。」
俺は、母さんに小さく手を振った
ミシェルがいなくなってから、早くも数か月の時が流れた。
いつしか俺も母さんも、ミシェルのことは話さなくなった。
母さんは俺に気を遣ってくれてたんだと思う。
まるで、ミシェルという人間が端から存在していなかったかのように、俺の家では不自然な程、ミシェルの話をしなくなった。
俺は今まで以上に仕事に精を出した。
朝から晩まで、薬草を摘みに行ったり、薬の調合をしたり…
そうして時を塗り潰すことで、ミシェルのことを考えないようにしたんだ。
(……母さん、大丈夫かな。)
俺は、窓越しに空を仰いだ。
夕方近くから急に雨が降って来て…雨はどんどんきつくなっていった。
俺は、ランプと傘を持って、外に出た。
母さんが向かったのは裏山だ。
そこに、薬草を摘みに行ったんだ。
雨は勢いを増すばかりだった。
猛獣はいないけど、ひとりで暗い山に入るのは危険だ。
もしかしたら、入れ違いになったのかもしれないと思い、俺は山の麓から家に引き返した。
けれど、母さんは家には戻っていなかった。
俺は、ひとりっきりの部屋の中で、まんじりともせず、次の朝を迎えた。



