クローゼット番外編~愛する君への贈り物

扉を閉めてもまだ聞こえてくる、血を吐くようなミシェルの泣き声に耳を塞ぎ…
俺は、何も出来なかった。



俺は、どうして貴族に生まれなかったんだろう…
いや…どうして、ミシェルと出会ってしまったんだろう…
こんな辛い想いをするのなら、出会わなければ良かったのに…



「ジョッシュ…追いかけないで良いのかい?」

「馬鹿なことを言わないでくれよ!
追いかけても、シュミットさんがおとなしくミシェルを引き渡してくれるはずなんてないだろう?!」

母さんの言葉に俺はイライラして、感情的な声を出してしまってた。



「そうかもしれないけど…
ミシェルお嬢様は、明らかに体調が悪くなってたよ。
誰に診てもらって、どんな治療を受けてるのかわからばいけど、明らかに合ってない薬を飲まされてるよ。
あんたとのことはだめでも、せめてお体のことだけでもなんとかして差し上げないと…」

「母さん…もうミシェルのことを考えるのは止せよ。
シュミットさんがきっと良い医者か薬屋を探しているさ。
俺達は、もうミシェルのことは忘れよう。
綺麗さっぱり忘れるんだ…」

「ジョッシュ……」



ミシェルを忘れることなんて、出来るはずがなかった。
出来ないとわかっていて、俺はそんなことを言ったんだ。