クローゼット番外編~愛する君への贈り物





「ミシェル…!気が付いた!?」

「ジョッシュ……」



ミシェルが意識を取り戻したのは、一時間程経った頃だった。



「ミシェルお嬢様、この煎じ薬をお飲みください。」

母さんが持って来た薬を、ミシェルはゆっくりと飲み干した。



しばらく見ない間に、ミシェルは痩せてやつれていた。
しかも、顔色も悪い。
せっかく元気になっていたのに、やっぱり母さんの薬をやめたことで、彼女の体調はまた悪くなっているようだった。



「ミシェルお嬢様、一体、どうしてここへ?」

母さんの質問に、ミシェルの顔は暗く曇った。



「ミシェル……」

「おばさま、私をここへ置いて下さいませんか?
私…本気でジョッシュのことが好きなんです。
他の人なんて好きになれません。」

「お嬢様…いけませんわ。
そんなことを言われては。
うちは、ただの薬屋です。
お嬢様とは身分が違います。」

「身分ですか…そんなもの、私はいつだって捨てます。
シュミットの家を出ます。
もう娘だと思ってもらわなくても良いのです。
私…ジョッシュと一緒に、この町で薬屋をします。」

「お嬢様、なんて馬鹿なことを……」

母さんは、目尻の涙を拭った。
俺も、胸が熱くなっていた。
ミシェルが、ここまで真剣に俺のことを想ってくれていたなんて…
なのに、俺はその件を忘れようとしていた。
自分が楽になるために…
俺はそんな自分自身が恥ずかしかった。