クローゼット番外編~愛する君への贈り物





「本当なんだろうな!」

「は、はい、嘘なんて吐いてません。」

「じゃあ、もしも、ミシェルが来たら、必ず知らせるんだ!
良いな!」

「は、はい。」



ある日の夜更け…
扉を激しく叩く音に驚いて出てみたら…そこにいたのは、険しい顔をしたシュミットさんだった。
シュミットさんは、ずかずかと家の中に入ると部屋の中を見渡して…
そして、俺にミシェルがいなくなったことを伝えて出て行った。



「ミシェルお嬢様、一体、どこに行っちゃったんだろうね?」

「うん…心配だね。
俺、ちょっと見て来るよ。」

「気を付けて行くんだよ。」




俺は暗い町の中、ミシェルの姿を探して歩いた。
詳しいことは何もわからない。
わかっているのは、ミシェルがお屋敷からいなくなったということだけ。
一体、何があったんだろう?
シュミットさんは、ここへ来ていると思ったみたいだけど…と、いうことは、もしかして、彼女はまだ俺とのことを話したんだろうか?



そんなことを考えると、胸が詰まる想いだった。
俺はもうミシェルのことは諦めていた。
会えないことは悲しかったけど…ミシェルのことは心配だったけど…
それでも、俺には何も出来ない。
彼女のことを忘れることが一番良いことなんだって思っていた。



だけど、ミシェルはまだ頑張っていたのかもしれない。
諦めた方がずっと楽なのに、それなのに、彼女はまだ戦い続けていた…



そう思うと、ますます胸が苦しくなった。